THE LEGEND OF 1900, 海の上のピアニスト


THE LEGEND OF 1900, 海の上のピアニスト, 1999/イタリア/アメリカ
THE LEGEND OF 1900, 海の上のピアニスト, 1999年/イタリア/アメリ


STORY
世紀の変わり目を告げる1900年、大西洋を果てしなく往復する豪華客船ヴァージニン号で拾われた小さな命は、”ナインティーン・ハンドレッド = 1900” と名付けられた。船を下りることなく成長した彼は、やがてピアノの鍵盤の上で信じがたい才能を発揮し、彼が即興で奏でる素晴らしい音色は、あらゆる人を感動の渦に巻き込んでいく。船の中でさまざまな人と出会ううちに、彼はある日、これまで一度も下りることのなかった船のタラップに、その足を掛けるのだった…。


STAFF
監督: ジュゼッペ・トルナトーレ, Giuseppe Tornatore
製作: フランチェスコ・トルナトーレ, Francesco Tornatore
脚本: ジュゼッペ・トルナトーレ, Giuseppe Tornatore
原作: アレッサンドロ・バリッコ, Alessandro Baricco
撮影: ラホス・コルタイ, Lajos Koltai
音楽: エンニオ・モリコーネ, Ennio Morricone


CAST
ティム・ロス, Tim Roth --- , ダニー, ナインティーハンドレッド, Danny Boodmann T.D. Lemon Nineteen Hundred '1900'
プルイット・テイラー・ヴィンス, Pruitt Taylor Vince --- マックス・トゥーニー, Max Tooney
メラニー・ティエリー, Mélanie Thierry --- 少女, The Girl
ビル・ナン, Bill Nunn --- ダニー・ブードマン, Danny Boodmann
クラレンス・ウィリアムズ三世, Clarence Williams III --- ジェリー・ロール・モートン, Jelly Roll Morton


特にどうってことない映画と言えばそうなんだけど、大きな感動を覚えるというよりは、ジワ〜ッと後から打ち寄せるような感覚に浸れる作品。が、泣くほどではない。
ロマンチックなストーリーではあるがそれ以上でも以下でもない。
最初は邦題を見て、タイタニックの船が沈もうとするのにずっと音楽を奏で続けたという楽師の話なのかと思ったのだが、違ってた。
それにこの邦題じゃあ紛らわしい作品が多いよねえ。
見所は、音楽、豪華客船内のシーンのスケールの大きさと豪華さ、それと主人公を演じたティム・ロス
主人公のナインティーハンドレッド(1900)はシャイで無口な役なので、余りセリフを語らず、もじもじしている様子が多いのだけど、それが、妙にコケティッシュサイレント映画チャップリンを髣髴とさせる場面が多かった。
ま、だからと言ってそれが演技的に演出的に良いのかどうかは正直言って分らないけど。
自分は時折しつこさを感じ、お尻がムズムズした。
ただ、ピアノの演奏シーンは迫力満点で、彼は実際弾いちゃいないけど、まるで演奏しているかのように見えた。
残念ながら他の俳優たちは余り印象に残らないなあ。
演奏シーンを支えるのはゴールデン・グローブ音楽賞を受賞したエンニオ・モリコーネの音楽。
この映画が見られる物に仕上がっているのは、ひとえに彼の音楽にあるといっても過言ではない。
クラシックとジャズが好きなので音楽は最初から最後まで楽しめた。
ストーリーの要点は、1900が自分の世界の大きさをどう判断するかにかかっている。
慣れた今の生活を捨てて一歩踏出せば新しい世界が広がると分っていても、なかなか踏み切れない。
勇気が無い臆病者といってしまえばそれまでだが、自分と他人の幸福の判断基準は全く違い、他人の目から見ればかわいそう、不幸だ、と思われることでも本人は満足して幸福を得ていることもある。
そんな価値観の違いとその違うという事をどのように捉えらるのかを考えさせられる。
また、自分の世界を見極めると言うこともなかなか難しい事ではないだろうか。
演出的にはロマンチックでファンタジーとしか言いようの無い陳腐な表現が混在していて、良いとも悪いとも言い切れず、なんとも評し難いところなのだが、個人的には終盤の1900の下した決断の表現方法がどうも納得がいかない。
心理をクドクド描いてきたのにそんな簡単な終り方で良いのかといった感じ。余りに非現実的。
ジュゼッペ・トルナトーレの作品という事で、マッタリ感は覚悟していたが、やはり小気味良いテンポで進むのではない。
ティム・ロスの演技同様、途中でもうさっさと進行させてくれと思わないでもない1900の独白シーンも多い。
全体的に悪くは無いのだけど、もう一味なんかが欲しいなという感じが残ってしまった。
好き嫌い分かれるだろうな〜。
このピアニストの題材は実際にあった話から取ったものらしい。
また、豪華客船ヴァージニン号(SS Virginian)と言う名の船も実在した(ピアニストには関係ないが)そうで、かのタイタニック号沈没の際にも、近くを航行していた。