GUN THAT WON THE WEST & WINCHESTER MYSTERY HOUSE


中西部開拓の象徴であったウィンチェスター銃のコネチカット州にある最後の工場が3月一杯で閉鎖されました。
140年近い歴史のある銃工場で、銃の存在への賛否両論はあれどやはり一つの歴史を築いてきた存在と言う事もあり、少し前まではニュースで触れられている事が多かったようです。
昔、州警察(郡警察だったかも?)の見学で実際に見たウィンチェスター銃は思っていたよりも大きく重く(なんと持たせてくれた!もちろん弾は込めてありません。)、使用する弾も大きくて、対人間用とはとても思えない、というより思いたくない代物でした。
日本の警察官が持っているような銃身の短い銃や、映画の中の現実的でない銃しか知らなかった為、その大きさと重さに結構ショックを感じた事を覚えています。
また、あの有名なウィンチェスター館一族関連だとのイメージも強いですね。


最近はマンガの「ゴーストハント」等を読まれてご存知の方も増えたかと思いますが、ウィンチェスター館とはウィンチェスター銃を開発したウィンチェスター社オーナー夫人のサラが夫と娘の死後、「家族の悲劇はウィンチェスター銃の犠牲者の呪いである。あなたが生き続ける為には家を建築し続けなければならない。」と霊媒師に言われた事から、カリフォルニア州サンノゼに、その後82歳で亡くなるまでの38年間に渡り昼夜増築を続けたビクトリア様式の豪邸です。
以前訪れたときのツアーの説明では、部屋数160部屋、窓数10,000、ドア数2,000、天窓数 52、暖炉数47、寝室数40、階段数42、浴室数13、台所数6、地下室2という内容で、巨大で不可思議な屋敷。
開けると壁になっているドア、どこにつづいているか分からない階段、天井につづく階段、交霊を行なったといわれる部屋など、普通では考えられない奇妙な構造で見ているだけでこちらの頭がおかしくなりそうでした。
Maurits Cornelis Escher, マウリッツ・コルネリス・エッシャーの絵のように、ちょっと見には余り奇抜さが分らないけれど、よ〜く見るとやっぱりおかしい。
本人さえ、地図が無ければ歩けない家の中、使用人たちも主がどこにいるのか分らず、時折ふいっと姿を現したり同様に消えたり、人の話を聞いていたりで、悪口や噂話が過ぎて辞めさせられた使用人もたくさんいたらしい。
悪霊から逃れる為と言い13という数にこだわったり、異様な屋敷を建築続ける傍ら、高価なガラスや金銀製品、シャンデリアなど金に糸目をつけない贅沢な品をふんだんに使用し、当時としては画期的な水道設備、熱暖房設備、エレベーター、ガス灯などのシステムが組み込まれている。しかもそれらはボタン一つで作動したようです。
現在でこそ、周囲には住宅が並んでいる土地ですが、当時の何も無い丘の上に、あれよあれよと言う間に、7階建の高い塔を持つ家が聳え立ったら、真に異様な家の中を知らずとも、見栄えだけでも十分に異様なのではないでしょうか。


ウィンチェスター家を恨む霊たちの存在をつねに意識して、狂気ともいえる増築作業を続けたと言われるサラ。
銃そのものが世の中から無くなったわけではないし、ウィンチェスターの名の付いた銃もアメリカ国外では生産が続けられるようですが、国内のウィンチェスター銃工場完全閉鎖にあたり、何か感慨を抱いているだろうかと思わずにはいられない、そんなニュースでした。


WINCHESTER MSYTERY HOUSE HOME PAGE

Photo: Winchester Mystery House, San Jose, CA.