「おはよう寄生虫さん」


おはよう寄生虫さん―世にも不思議な生きものの話
おはよう寄生虫さん―世にも不思議な生きものの話
著者: 亀谷了
出版社: 講談社(文庫)
発売日: 1996/10


川原泉の著書で紹介されていたのを読んでから、ず〜っと読みたかった本です。
図書館で借りてきてしばらく暖めていたら、その時読み始めていた倉知淳作の猫丸先輩シリーズの一冊に、かの猫丸先輩が目黒の寄生虫博物館に行き、そこでいつもながらの毒舌でわーぎゃー言いながら見学し、途中館内で起きた事件を解決をするという話が乗っていました。
これはもう早速読まずばなるまいと、ページを開いたのですが・・・


ずっと気になっていた“世界でただひとつの”「目黒寄生虫博物館」でしたが、一言で言うと、“グロすぎる・・・(ーー;)”
全体として話はすごく面白いので、最初のうちこそ興に乗ってガンガン読んでいましたが、だんだん顔色が悪くなるのが自分でもわかりました。
特に昆虫が好きとか気持ちの悪い話OKな人以外は、くれぐれもいっぺんに読まずに、少しづつ読み進めて下さい。
一気に読んで亀谷ワールドに嵌り込むと、まず、ご飯が食べられないですから・・・


と、のっけから脅かしてしまいましたが、何はともあれ、作品を通じて感じるこの著者の寄生虫に対する熱意、と言うよりもはや愛情には、圧倒的な感慨を覚えます。
寄生虫の描写は、愛情が行き過ぎて?凄まじいですが、文章は非常に面白いです。
著者特有の一風変わったユーモア?の目を通して描かれていて、
「いや、そう思うのはあなただけよ。」とか、
「ぎえぇ〜普通はそこまでしないよ〜。」とか、突っ込みどころは満載です。
軽めの話を紹介すると、知人に尻からサナダムシが出たと言う話を聞くと、トイレでうんうんやってサナダムシを出している人から“電話中継で”今、何センチ出たとか、もう一メートルになるとか聞いているんです。
内心で「こんなに長いならぜひ(博物館の)サンプルに貰おう」とかホクホクしながら・・・
またある時は、イタリア旅行中、その昔寄生虫を食べた地方があると聞きつけ、地元の人でも食べないものを食しながら、微に入り細に渡り食している寄生虫の観察説明。
こういうのを本当の学者と言うんでしょうか?!
語られる話も、寄生虫の生態も常識では考えられない世界ですが、その研究者がさらに上を行く!!
いかんせん素人には追いて行けません。
本を読む前は、一度「目黒寄生虫博物館」に行ってみたいと思っていましたが、読後は「もう・・・いいか(十分堪能した・・・)。」
勇気のある人、興味のある人、体力のある人はぜひどうぞ。